オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、寝ている間に装用すると視力が回復するハードコンタクトレンズです。
それぞれの角膜形状や近視度数に合わせてカーブを施した特殊なレンズを装用してから眠ると、睡眠中に角膜の形状が変化し、近視を矯正します。朝起きてレンズを外した後もしばらくの間その形状の変化が保たれるので、日中はコンタクトレンズやメガネなしで生活ができるようになります。今までのコンタクトレンズとは異なった発想の視力矯正方法です。

近視とは、角膜から網膜までの距離が長かったり、角膜や水晶体の屈折率が変化することで、網膜の手前でピントが合ってしまう屈折異常のことです。
オルソケラトロジーは、軽度から中等度の近視の方に有効で、くり返し装用することでレンズを外した後も矯正効果を維持できる時間が増え、日中は裸眼で過ごすことができるようになっていきます。装用開始後1週間までに半数以上の方が裸眼視力1.0以上に矯正され、さらに開始から1か月後になると7割以上の方が1.0以上に矯正されています。個人差もありますが、1週間ぐらいで効果のわかる安全な治療方法です。
特に、通常のコンタクトレンズの管理がまだ上手くできないお子さんや、年齢制限のために近視矯正手術を受けることができない若い方は、大人に比べて角膜がやわらかいといわれているので、この矯正方法は効果的です。
また、レンズの装用を中止すると一般的に1か月程度で角膜の形状が元の状態に戻り、他の矯正方法へ変更することもできます。万が一合わないと感じても、いつでも中断できるので安心です。
通院スケジュール
レンズ処方後の定期検査はかならず受けて下さい。

Q&A
- 効果が出ないことがありますか?
- -6.00D以上の強度近視の方には、近視が軽減しても視力に充分反映されないことがあり、あまり向きません。また、睡眠時間が十分に取れない方は、完全な効果が出るまで日数がかかることがあります。1日6時間ほど装用すれば効果が現れます。また、装用の仕方によって効果に差が出ることがありますので、装用時は十分注意をしてください。
- 毎晩装用が必要ですか?
- 近視の強さや年齢によって、装用の頻度は異なります。慣れてくれば1週間に2~3回だけでよい方もいます。
- 痛みはありますか?
- 就寝中に装用するために異物感が少なく、今までハードコンタクトレンズが使用できなかった方や、コンタクトレンズが始めての方でも使用できます。特殊な形状のハードコンタクトレンズを利用するため、初日はゴロゴロとした異物感を感じるかもしれませんが、2日目、3日目と角膜が矯正されるにつれ、この異物感は薄れていきます。もし痛みを感じて涙が出るようであれば、我慢せずに眼科医にご相談ください。大量の涙は矯正効果を弱めてしまいます。また、この異物感によってお子さんが治療をやめたがるということはほとんどありません。正しく装着すれば翌朝には矯正効果が現れるので、お子さんには ”見える” という感激の方が強く、異物感は気にならないようです。
- 費用はどれくらいかかりますか?
- オルソケラトロジーは健康保険適用外となります。クイーンズアイクリニックでの治療費は、レンズ代・3か月までの定期検査代込みで両眼で165,000円です。3か月以降の定期検査は、3,300円かかります。
- ドライアイでも大丈夫ですか?
- 就寝中に装用するので、医師の管理のもと、涙の少ない方や目の乾きやすい方でも大丈夫です。
- 合併症はありますか?
- この治療特有の合併症の報告はありませんが、使い方を守らなかったりレンズケアを怠ると、通常のコンタクトレンズと同等の下記のようなトラブルが起こる可能性があります。トラブルを未然に防ぐため、調子が良くても定期検査は必ず受けて下さい。
起こりうる合併症
- 角膜炎・角膜上皮障害
- レンズによって角膜の表面(上皮細胞)が傷つけられるとことで発症します。レンズの使用を中止し、点眼治療を行います。
- 角膜内皮障害
- 角膜の内側にある角膜内皮細胞は再生しない細胞で、酸素不足やケガなどにより細胞数が減少すると、角膜が濁ったりむくんだりして視力が低下し、角膜移植が必要になることがあります。適切なレンズの使い方・レンズの交換と定期検査が必要です。
- 角膜感染症(角膜潰瘍)
- オルソケラトロジーのレンズは複雑な形状のため、細菌や汚れの洗浄が不十分になりがちです。レンズが清潔に保たれていない場合、角膜感染症を引き起こす可能性があります。緑膿菌やアカントアメーバによる感染は特に重篤で、失明に繋がることもあります。適切なレンズケアと、レンズやレンズケースの交換、定期検査が大切です。充血や痛みなどの症状が出た場合はレンズの装用を中止し、早急に診察を受けてください。
- 巨大乳頭結膜炎
- 主な症状はかゆみ、充血、目やにで、アレルギー体質とレンズの汚れが原因です。点眼治療やレンズケアで改善します。
